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データブック 塩分計-食塩相当量

食塩相当量 ナトリウム量からの換算

食塩相当量とナトリウム

塩味は、料理のおいしさを左右します。この「塩」すなわち食塩は、ナトリウムと塩素からできています。食塩相当量とは、次の計算式で、食品に含まれているナトリウム量を食塩の量に換算した値です。

ナトリウム(mg)×2.54÷1,000=食塩相当量(g)


近年、食品の栄養成分表には食塩の量を表示する代わりに、ナトリウム量が表示されています。これは、医学的、栄養学的に見て、我々の身体に食塩(Nacl)というよりもナトリウム(Na)が影響を与えていることが分かってきたからです。ナトリウムは食塩のほかに、グルタミン酸ナトリウム(昆布の旨味成分)、アスコルビン酸ナトリウム(ビタミンC)などにも含まれており、国際的にも食塩ではなく、ナトリウムでの表示が求められています。食塩相当量を計算するには、ナトリウム量に2.54を乗じて算出した値を用いていますが、この場合あくまでも、ナトリウム含量がすべて食塩から由来したものとして計算した値を表しますので、実際の食塩含有量は、食塩相当量(計算値)より低くなります。

ナトリウムとは

食品中のナトリウムは、重炭酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム、アスコルビン酸ナトリウムなどさまざまな形で存在しますが、ほとんどは食塩(塩化ナトリウム)です。身体を構成しているすべての細胞の内外浸透圧を調節しており、生命を維持する上で必須のミネラル成分です。中枢神経機能、ホルモン調節機能、腎機能などをはじめ、身体のほとんどの機能にかかわっています。しかしながら、食習慣によって食塩の摂取量が必要量を大幅に上回る場合があり、これが高血圧の一因となっていることから、食塩摂取量の制限(15~69歳の成人の場合、食塩摂取量として1日あたり10g未満)が推奨されています。

出典:雪印乳業株式会社HP

塩分摂取に関する意識調査

ノバルティス ファーマは2009年4月27日、40歳以上の男女を対象にした「塩分摂取に関する意識調査」の結果を発表しました。それによると、食品の成分表示におけるナトリウム量と塩分量との関係について、正しく理解している人はわずか5.6%に過ぎないことが明らかになりました。一方で「ナトリウム量表示」と「塩分量」が同じであると認識している人が過半数にも達しており、塩分関連の情報の啓蒙が望まれる結果となっています(【発表リリース】)。
今調査は2009年4月14日から15日、インターネット経由で行われたもので、有効回答数は412。男女比は256対156、年齢階層比は非公開。
最近は塩分相当量を併記するものも増えてきましたが、ナトリウムはそのまま塩分量に相当するのではなく、
「ナトリウム(mg)×2.54÷1000=塩分(g)」
が正解となります。
ナトリウム量はグラム単位で表記されている場合もあるので、その時は「ナトリウム(g)×2.54=塩分(g)」となり、例えば「ナトリウム1000mg含有」なら、塩分相当量は2.54gとなります。
そこで、食品成分表記に「ナトリウム2.2g」とあった場合、塩分との関係はいかなるものかについて選択肢の中から答えてもらったところ、正しい回答である「5.6g」(2.2×2.54=5.588)を示した人はわずか5.6%でしかありませんでした。

出典:ノバルティスファーマHP


「塩分摂取に関する意識調査」の結果円グラフ

「ナトリウム量=塩分量」と思っている人が過半数に達していますが、上記計算にもあるように(グラム表記の場合)2.54を乗じるのが正解なので、間違った認識のままだと塩分の量を過少に計算してしまうことになります。
年齢や労働条件、生活性向によって違いはあるものの、成人男性における1日あたりの目標塩分摂取量は10g未満。塩分の取りすぎは高血圧をはじめさまざまな疾病をもたらす要因となりえます。これは今回の調査母体である40歳以上はもちろんですが、それより下の年齢階層でも事情は変わりません(若年層だから塩分を大量に採って良いというわけではない)。また、「2.54」の計算式で計算しなおすと、レトルト食品をはじめ加工食品の多くは意外に多くの塩分を有していることが分かるはず。「2.54」という係数を知っているだけで、身の回りにある食品がちょっと変わって見えてくるかもしれません。

食塩の働き

食塩はどんな働きをするのでしょうか。
食塩は生命の維持に欠かせないナトリウムと塩素からできています。ナトリウムは、体内の水分量をいつも適切な状態に調節したり、神経や筋肉を正常に動かすために働いたりする重要な役割をします。一方、塩素は胃液などの成分になります。

食塩の働き

食塩は、ほぼすべての食べ物に含まれていますから、普通の生活では不足する心配はまずありません。ただし、スポーツなどをして大量の汗をかいたり、おう吐や下痢をしている場合には、たくさんのナトリウムが失われてしまうので適切に補給することが必要になります。
一般的に問題となるのは、食塩のとり過ぎの方です。食塩をとり過ぎる食生活では、高血圧や胃がんなどの様々な生活習慣病をまねくおそれがあります。
国民健康・栄養調査結果によると、私たち日本人全体の食塩摂取量は平成16年の調査結果では1人あたり平均10.7g/日でした。しかし、生きていくために必要な量は成人で1日1.5gほどであるのに対して、1日10g以上とっている人の割合は成人の5割以上も占めています。急に無理な減塩をして食欲をおとしてしまうことは問題ですが、私たち日本人はもっとうす味の食生活に切り替えて、食塩を減らしていく必要があります。成人では、まずは食事摂取基準の「目標量」である食塩相当量(男性10g未満、女性8g未満)をめざしましょう。そして、WHO/国際高血圧学会ガイドラインなどで、高血圧の予防と治療のための指針として示されている1日6g以下に少しずつ近づけたいものです。

出典:江崎グリコ株式会社HP