食塩濃度を測定する計測器を塩分計といいます。
塩分計は測定原理や測定方法によって、いくつかの種類があります。
アタゴは、3)電気伝導度式の塩分計)と4)屈折計方式の塩分計を販売しています。
塩は電解質なので、電気伝導度と食塩濃度に相関があります。
電気伝導度とは、どれくらいの電気を流すかの尺度で、 電気抵抗の逆数(電気伝導度=1 / 電気抵抗)です。1cmの距離の電極間の電気抵抗値をΩcm(オームセンチ)といいますが、その逆数を比電気伝導率といいます。
さらに、その値に100万をかけた数字が通常我々が使っている電気伝導度(マイクロジーメンス:μS/cm)です。
1cmあたりの電気抵抗が100万Ωcmであれば、比電気伝導率は100万分の1であり、電気伝導度はそれに100万をかけた1μS/cmとなります。
*とくにモール法(硝酸銀滴定法)に対して大きなメリットといえます。
とくに試薬は食品の現場には持ち込みにくいといわれます。加えて、試薬を購入する消耗品としてのコストがかかり、さらに廃棄のことを考慮すると環境面からの配慮にも欠けるといわれます。
モール法は、色の変化で終点を見極めで判断するため、経験が必要とされたり、測定誤差の可能性があります。電気伝導度式は、自動測定ですので、個人誤差や測定者の経験を必要としません。
世の中の電気伝導度式の塩分計は、金メッキ電極を用いているのに対して、アタゴの電気伝導度式の塩分計の大きな特徴は、電極にチタンを採用していることです。 金メッキ電極は、長年の使用や摩擦によって傷がつきやすく、傷がついてしまうと、測定値がブレるため精確に測れません。一方、アタゴの塩分計は、チタン電極を採用しているため、摩擦に強く、3年使用の故障率はわずか0.1%と耐久性に優れています。
電気伝導度式の塩分計で注意が必要なのは、液体中にほかの電解質が含まれている場合です。例えば、グルタミン酸ナトリウムが100g中に1g含まれていると、0.16%ほど加算されます。しかし、実際の食品では100g中1gまでは、含まれていないので無視して差し支えない程度です。
食塩(塩化ナトリウム)を含む電解質および電導度への影響は次のとおりです。
上記、①②,①④,②③,③④の組み合わせが電解質になります。
このうち、①②の組み合わせ(例 リン酸アンモニウム)は、電導度にほとんど影響はありません。①④,②③の組み合わせ(例 グルタミン酸ナトリウム)は、他の強い電解質があるときは(食塩が含まれているときは)、電導度への影響は少ないです。
一方で③④の組み合わせ(例 塩化ナトリウム(塩酸ナトリウム),硝酸ナトリウム)は電導度の影響が大きいです。
屈折計は、光の屈折の原理を利用して液体の濃度を測る計測器です。
アタゴの屈折計には数多くのラインナップがありますが、そのなかで食塩水専用のモデルが屈折計方式の塩分計です。
詳しい屈折計の原理については、「データブック 屈折計」をご覧ください。
屈折計方式の塩分計の特徴は、食塩水の濃度を測る点にあります。 電気伝導度式の塩分計は食塩水に限らず、液体中に食塩以外のものが溶けている場合でもその中の食塩(電解質)を測定することができますが、屈折計方式の場合は、食塩と水のみで構成されている食塩水のみを測定できます。
では、電気伝導度式に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?
一つ目に、10%~28%までの濃い食塩水を測る場合において、電気伝導度式の塩分計は希釈が必要となりますが、屈折計方方式の塩分計は希釈せずに直接塩分濃度を測ることができます。例えば、製塩の工程やうどんを打つ際に使われる食塩水には10%以上の食塩水が使われます。
二つ目に、食品や水産の業界においては、野菜や干物など漬けこみ用の塩水、蟹やしらすなどの茹で汁としての塩水など、塩水は広く使われています。ところが、これらの現場では、昔からボーメ比重計が広く使われている現状があります。ボーメ比重計は、安価であるためメリットはあるものの、人による読み取り誤差や、温度補正機能が付いていないため精確に測れないこと、また食品の現場においてはガラス製のものは本来は持ち込みたくないと言われているため、デメリットも多くあります。
屈折計式の塩分計では、ボーメ計をお使いのお客様がお買い換えしやすいように、ボーメ目盛りの食塩ボーメ計もご用意しております。