屈折計(糖度計)で水溶性切削油、洗浄液、防錆剤、作動油、エチルアルコール、過酸化水素水、グリセリン、不凍液、水酸化ナトリウムなど色々な水溶液の濃度を測定するときは、「Brix(屈折率)対濃度」の換算グラフを前もって作成します。
ここでは、換算グラフの作成方法を記します。
① 換算グラフを作成するために、濃度5.0%、10.0%、15.0%の水溶性切削油の希釈液を作成します。
濃度の単位がg/100g、g/100ml、ml/100mlのいずれかを前もって確認しておいてください。
※正確に希釈してください。
g/100g(重量%)の場合、濃度10.0%とは天秤(はかり)を用いて、切削油原液10.0gと水90.0gを混合します。
ml/100ml(容量%)の場合、濃度10.0%とはメスシリンダーを用いて、切削油原液10.0mlと水90.0mlを混合します。
このように、サンプルは100gまたは100ml程度作成します。
②屈折計(糖度計)のゼロ合わせを行なってください。
③作成した濃度5%、10.0%、15%の希釈液を測定し、屈折率またはBrixを読みとってください。
④仮に、下記のような測定データ(表1)だとします。
希釈液濃度 | 屈折計の読み(Brix) |
---|---|
水(0.0%) | 0.0% |
5.0% | 3.5% |
10.0% | 7.1% |
15.0% | 10.5% |
このデータを基に、下記のような換算グラフができます。
以後、換算グラフから、屈折計の測定値(Brix)を基に、未知の濃度%を知ることができます。
例えば、屈折計の測定値がBrix 6.0%であれば、上記の換算グラフから、濃度8.5%と読みとることができます。
このように、水溶液の「屈折率(Brix)対濃度」の他、「屈折率(Brix)対比重」、有機・石油系の液体における「屈折率対2液混合比」、洗浄液に加工油やフラックスなどが溶け込む場合の「屈折率(Brix)対含有濃度」などにおいても、同じような方法で作成します。有機、石油系の液体のように、温度による屈折率の変化が大きいときは、通常はアッベ屈折計循環式恒温水槽を接続、または恒温機能内蔵のRX-5000αで、20℃や25℃など一定温度で測定します。したがって、換算グラフもその一定温度の条件下で作成します。
※ 表1の測定値をパソコンソフトのエクセルで表にしてグラフを作成し、近似曲線の書式設定から式を求めて換算表を細かく作成する事もできます。
※ 糖度計(屈折計)を現場で使用する場合は、上記の換算グラフを描かなくても糖度計(屈折計)で測定した切削油の濃度管理値範囲を記しておけば誰でも簡単に使えます。