老舗の「液体の濃度」を測る 株式会社アタゴ

データブック pH計-食品添加物

食品添加物

食品、添加物等の規格基準

昭和34年12月28日 厚生省告示第370 号
16.液性を酸性アルカリ性又は中性として示した場合は別に規定するもののほかpH試験紙を用いて試験する。液性を詳しく示すにはpH値を用いる。また微酸性、弱酸性、強酸性、微アルカリ性,弱アルカリ性、強アルカリ性等と記載したものは,酸性又はアルカリ性の程度の概略を示すものであってそのpHの範囲は次による。

  phの範囲
微酸性 約5~約6.5
弱酸性 約3~約5
強酸性 約3以下
微アルカリ性 約7.5~約9
弱アルカリ性 約9~約11
強アルカリ性 11以上

31. pH測定法

pHはガラス電極によるpH計を用いて測定する。
pHは基本的には溶液中の水素イオン活量を表す値であり、次式で定められている。この値は希薄溶液においては溶液中の水素イオン濃度をその逆数の常用対数で示した値とかなりよく一致する。

pH=pHs+((E-Es)/(2.3026RT/F))

  • pHs:pH標準液のpH値
  • E:試料の液の中でガラス電極と比較電極を組み合せた電池の起電力(ボルト)で、電池の構成は次に示される。ガラス電極|試料の液∥比較電極
  • Es:pH標準液中でガラス電極と比較電極を組み合せた電池の起電力(ボルト)で、電池の構成は次に示される。ガラス電極|pH標準液∥比較電極
  • R:気体定数
  • T:絶対温度
  • F:ファラデー定数
液温 2.3026RT/F(V) 液温 2.3026RT/F(V)
5℃ 0.05519 35℃ 0.06114
10℃ 0.05618 40℃ 0.06213
15℃ 0.05717 45℃ 0.06313
20℃ 0.05817 50℃ 0.06412
25℃ 0.05916 55℃ 0.06511
30℃ 0.06015 60℃ 0.06615

以下、本試験法を用いる場合において、例えばpH6.0~7.5(1.0g,水20ml)と規定 する場合は、本品1.0gを量り水20mlを加えて溶かした液のpHが6.0~7.5であることを示す。

pH標準液の調製

pH標準液はpHの基準として用いる。PH標準液の調製に用いる水は精製水を蒸留し留液を 15分間以上煮沸し二酸化炭素を追い出した後、二酸化炭素吸収管(ソーダ石灰)を付けて冷却する。pH標準液は硬質ガラス瓶又はポリエチレン瓶に保存する。長期間の保存によってpHが変化することがあるから通例、酸性のpH標準液は3か月以内に使用し塩基性のpH標準液は、二酸化炭素吸収管 (ソーダ石灰)を付けて保存し、1か月以内に使用する。

シュウ酸塩pH標準液

pH測定用四シュウ酸カリウムを粉末とし,デシケーターで乾燥した後、その12.71gを正確に量り水を加えて溶かし正確に1,000mlとする。

フタル酸塩pH標準液

pH測定用フタル酸水素カリウムを粉末とし110℃で恒量になるまで乾燥した後、その10.21gを正確に量り水を加えて溶かし正確に1,000mlとする。

リン酸塩pH標準液

pH測定用リン酸一カリウム及びpH測定用無水リン酸二ナトリウムを粉末とし110℃で恒量になるまで乾燥した後リン酸一カリウム3.40g(0.025グラム分子量)及びリン酸二ナトリウム3.55gを正確に量り水を加えて溶かし正確に1,000mlとする。

ホウ酸塩pH標準液

pH測定用ホウ酸ナトリウムをデシケーター(水で潤した臭化ナトリウム)中に放置し恒量とした後、その3.81gを正確に量り水を加えて溶かし正確に1,000mlとする。

炭酸塩pH標準液

pH測定用炭酸水素ナトリウムをデシケーターで恒量になるまで乾燥する。その2.10gを正確に量る。pH測定用炭酸ナトリウムを300~500℃で恒量になるまで乾燥し、その2.65gを正確に量る。両者を合わせ水を加えて溶かし正確に1,000mlとする。

水酸化カルシウムpH標準液

pH測定用水酸化カルシウムを粉末とし、その5gをフラスコに入れ水1,000mlを加えよく振り混ぜ、23~27℃とし十分に飽和した後、その温度で上澄液をろ過し澄明なろ液(約0.02mol/l)を用いる。

これらのpH標準液の各温度におけるpH値を次の表に示す。この表にない温度のpH値は、表の値から内挿法により求める。

温度 シュウ酸塩
pH標準液
フタル酸塩
pH標準液
リン酸塩
pH標準液
ホウ酸塩
pH標準液
炭酸塩
pH標準液
水酸化カルシウム
pH標準液
0℃ 1.67 4.01 6.98 9.46 10.32 13.43
5℃ 1.67 4.01 6.95 9.39 10.25 13.21
10℃ 1.67 4.00 6.92 9.33 10.18 13.00
15℃ 1.67 4.00 6.90 9.27 10.12 12.81
20℃ 1.67 4.00 6.88 9.22 10.07 12.63
25℃ 1.67 4.01 6.86 9.18 10.02 12.45
30℃ 1.68 4.01 6.85 9.14 9.97 12.30
35℃ 1.69 4.02 6.84 9.1 9.93 12.14
40℃ 1.70 4.03 6.84 9.07 11.99
50℃ 1.71 4.06 6.83 9.01 11.70
60℃ 1.73 4.10 6.84 8.96 11.45

pH計の構造

pH計は通例、ガラス電極及び比較電極からなる検出部と検出された起電力に対応するpHを指示する指示部からなる。指示部には非対称電位調整用及び温度補償用つまみがあり、また感度調整用つまみを備えるものがある。 pH計は、次の操作法に従い任意の一種類のpH標準液のpHを毎回検出部を水でよく洗った後5 回繰り返し測定するとき、その再現性が±0.05以内のものを用いる。

操作法

ガラス電極は、あらかじめ水に数時間以上浸しておく。pH計は電源を入れて5分間以上たってから使用する。検出部をよく水で洗い付着した水は、ろ紙などで軽くふきとる。1点で調整する場合は温度補償用つまみをpH標準液の温度と一致させ検出部を試料の液のpH値に近いpH標準液中に浸し2分間以上たってからpH計の指示が、その温度におけるpH標準液のpHになるように非対称電位調整用つまみを調整する。
2点で調整する場合は、まず温度補償用つまみを液温に合わせ、通例リン酸塩pH標準液に浸し非対称電位調整用つまみを用いてpHを一致させ次に試料の液のpH値に近いpH標準液に浸し感度調整用つまみ又は標準液の温度にかかわらず温度補償用つまみを用いて同様に操作する。
以上の調整が終われば検出部をよく水で洗い付着した水は、ろ紙などで軽くふき取った後、試料の液に浸し測定値を読み取る。

操作法の注意

  • (1) pH計の構造及び操作法の細部は、それぞれのpH計によって異なる。
  • (2) pH11以上でアルカリ金属イオンを含む液は誤差が大きいので、アルカリ誤差の少ない電極を用い更に必要な補正を行う。
  • (3) 試料の液の温度はpH標準液の温度と等しいことが望ましい。

中性は、水素イオン(H+)濃度が10-7(0.0000001)モル/リットル、つまりpH7になります。

添加物におけるpH一覧

※PDFはこちら