ワインに含まれる酸には、ブドウに元々含まれている酒石酸、クエン酸、リンゴ酸などに加え、醸造過程で生成される乳酸、酢酸、琥珀酸などがあります。これら6つの酸はワインの主要有機酸です。
量は相対的に少ないが、バクテリアの働きで、酢酸やダイアセチル生じ、香りに悪い影響を与えることもあります。
リンゴやブドウに多く含まれ、MLF(マロラクティック発酵)により乳酸へと変化し減少します。MLFを行わないドイツワインには多く含まれます。マロラクティック発酵とは、リンゴ酸を乳酸菌が食べることで乳酸と炭酸ガスが発生する発酵です。味に丸みを持たせたり、複雑味を持たせたり、またワインの微生物に対する安定性を強める目的で行われると言われています。
量は相対的に少ないが、バクテリアの働きで、酢酸やダイアセチル生じ、香りに悪い影響を与えることもあります。
MLFにより生じるため、リンゴ酸とは逆にMLFをした赤ワインに多く、ドイツワインには少ないと言われています。
揮発性で異臭のもとにもなります。発酵温度が高すぎたり、バクテリアなどによっても発生します。
やや塩味と苦みをもつ酸で、日本酒にも含まれています。
酸には2つの計測方法があります。一つは酸の総量を測る方法で、総酸度と言います。もう一つは、酸の性質を測る方法でpHと言います。
総酸度は、揮発酸と非揮発酸の合計で、単位は一部を除き g/Lで表します。この総酸度は国によってその基準とするものが違い、フランスでは硫酸(Sulphuric Acid)に換算した値、ドイツでは1リットルあたりの水素イオンの量に換算した値、イタリア、アメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどでは酒石酸量でそれぞれ表します。アタゴのワイン用糖酸度計PAL-BX/ACID2 は、酒石酸換算の総酸度を表しています。
一方pHは、ワインに溶解した水素イオンの濃度を表します。ワインのpHは、3~4の範囲が普通であり、特に3.2~3.5程度が理想と言われています。pHは数字が低くなるほど酸性度が強く、酸っぱく感じます。pHが1違うということは、水素イオン濃度が10倍違うことを意味します、つまり、pH3と4とでは、10倍の濃度差があるということになります。pHが低いほど、つまり、水素イオン濃度が高いほど、ワインづくりでは好結果をもたらすといわれています。