塩分計で正しい数値を出すための測定方法をご紹介いたします。
そのままごくごくと飲める液体
スープや味噌汁など、そのまま食べられる濃さの液体であれば、サンプルを直接乗せるだけで測定できます。ごくごく飲めない濃い液体、どろっとしたペースト状の液体
たれや調味料、ソースなど、濃いものは、重量で10倍希釈することで、より精確に測定できます。〝濃い"の概念は、直接口に入れない調味料や、漬物の漬け汁など塩分が濃いものがその対象になります。
アタゴで取り扱っている濃度計でBrix6.0%以上を目安としています。PAL-SALT、ES-421 は電気を流して電解質を測定する原理を利用しています。
濃いものほど、分子がぎゅっと凝縮されているため、電気を通しにくく、測定値が実際の塩分値よりも低くでる傾向があります。
塩分濃度が測定範囲を超えるもの
漬物の漬け汁などは、測定範囲上限の10%を超えるようでしたら、希釈が必要となります。たとえば、塩分12%の塩水でしたら、10倍希釈すると1.2%になります。5倍希釈で6%になります。
測定範囲に入るように希釈をしてください。
固形物の場合
ハムやベーコン、干物や魚、ポテトチップスなど固体のサンプルは、細かく刻んで10倍希釈し、よく混ぜてください。
目安として、数分(3分程度)で塩分が水に溶けだします。
(*測るものの性質(塩分が溶け出しやすいかどうか)、塩分濃度(濃さ)、刻み方、混ぜ具合によって塩分が溶けだすまでにかかる時間が異なります。)
よく塩分が溶け出したタイミングで、液体の部分を測定し、表示値を10倍にしてください。
なお、固体専用に、直接挿して測定できるタイプの製品(PAL-SALT PROBE)もあります。
油分の多い場合
油分を含むサンプルも測定できます。ラーメンスープのように、油が浮いているようなサンプルについては、数値が安定しないことがあります。
サンプルを乗せた後、箸の先でくるくると混ぜて測定すると安定します。オイル漬けのような食品に含まれている塩分を測定 する場合は、オイルを避けて採取し10倍希釈になるよう水を加えてよく振り混ぜてください。
表示値を10倍にすると元の塩分濃度が分かります。
PAL-SALT Q&A
Q1 なにが測れますか?
塩分を含むあらゆるサンプルの測定が可能です。例えば、味噌汁、スープ、たれ、
調味料、ソース、魚、ゆで汁、
漬け汁、ハム、ベーコン、漬物、
チーズ、バ ター、せんべい、
ポテトチップスなどが測れます。
Q2 サンプルによって測定方法は異なりますか?
はい。サンプルによって測定方法が変わりますので、「測定のテクニック」を参照してください。Q3 希釈用の水は水道水でよいですか?
希釈用の水は蒸留水が望ましいですが、蒸留水がなければ、水道水を用いてください。水道水は、0.01%程度わずかですが測定値に影響を与える可能性があります。また、ミネラルウォーターやイオン水は測定値に大きく影響を及ぼす可能性がありますので、希釈用として使うことは避けてください。
Q4 測定後はどのようにお手入れしたらよいですか?
防水仕様ですので、水道水で丸洗いが可能です。油分などがこびりついている場合は、中性洗剤で洗ってください。また、エタノールでふき取ってから水で洗い流していただいても構いません。
Q5 測定値が安定しません
油分や脂肪分を含むサンプルは、滴下した後に、箸の先などでくるくると混ぜてから測定すると測定値が安定します。Q6 高温や低温のサンプルを測定するときのコツは?
滴下した後30秒間置いてから測定するか、数回測定を繰り返してほぼ安定した値を採用することをお勧めします。Q7 校正はどのくらいの頻度で行えばよいですか?
通常は、1日に一度、測定を開始する前にゼロセットを行ってください。サンプルステージに何も乗せない(空気の)状態で、ZERO キーを押せばゼロセット完了 です。値がおかしいと感じた場合は、「Q8 測定値がおかしいと感じたときは?」を参照してください。メーカー校正をご希望の場合には、弊社修理サービス部までお問い合わせください。Q8 測定値がおかしいと感じたときは?
水またはエタノールをサンプルステージにたらして、ティッシュペーパーできれいに拭き取ります(水の場合は数回繰り返してください)。それでも改善されない 場合は、2.5%の食塩水で基準合わせを行なってください。Q9 保管方法は?
しばらく使わない場合は、購入時に入っていたケースに戻して保管してください。Q10 電気伝導度式の塩分計と屈折式の食塩水濃度計の違いは何ですか?
調味液など、食塩以外の成分が含まれているサンプル中の塩分濃度のみを測定したい場合は、電気伝導度式をお選びください。 一方、純粋な食塩水・海水のみを測定する場合には、どちらの方式でも測定ができます。ただし、屈折式では希釈なしで28%(g/100g)までの食塩水が測定可能なのに対し、アタゴの電気伝導度式では高濃度の食塩水を測定するのに希釈が必要です。
食塩水・海水しか測定しない場合は屈折式が便利です。
食塩水や調味料など様々なサンプルを測定される場合は電気伝導度式をお選びください。